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破壊力満点のミラ・ジョヴォヴィッチ
だが、アクション映画としてはアクセル不足

ジョー・レイドン
2007/11/05

11月3日(祝)より、日比谷スカラ座ほか全国で大ヒット公開中!
11月3日(祝)より、日比谷スカラ座ほか全国で大ヒット公開中!
●監督:ラッセル・マルケイ 脚本:ポール・W.S.アンダーソン 撮影:デイヴィッド・ジョンソン 編集:ニーヴン・ハウィー プロダクション・デザイン:エウヘニオ・カバイェーロ 製作:ベルント・アイヒンガー、サミュエル・ハディダ、ロバート・クルツァー、ジェレミー・ボルト、ポール・W.S.アンダーソン 製作総指揮:マーティン・モスコウィック、ヴィクター・ハディダ、ケリー・ヴァン・ホーン
●出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ、オデット・フェール、アリ・ラーター、イアン・グレン、アシャンティ、クリストファー・イーガン、スペンサー・ロック、マシュー・マースデン、リンデン・アシュビー、ジェイソン・オマラ、マイク・エップス
●2007年/カナダ・イギリス/94分/2007年11月3日(金)
●配給:ソニー・ピクチャーズ

 「1億ドルを稼ぎ出した『バイオハザード』シリーズ、第三弾にして最終章」とかなり盛り上げているが、この『バイオハザードIII』、ビデオゲームから発生した人気シリーズの第三弾というよりは、80年代のポスト黙示録的な作品、いわゆる『マッド・マックス2』のような世界に逆戻りしてしまったと思わせる一品となってしまっている。残念なことに、この新作、仕掛けとしてミラ・ジョヴォヴィッチを引っ張り出し、彼女自身はバック・キック、ゾンビの滅多切り、と大胆不敵この上なく、しなやかで破壊力満点なのだが、アクション・アドベンチャー映画としてアクセル全開で全速力を出し切ったかというと、そうでもない。このジャンルを愛するファンおかげで、公開当初のシネマ・コンプレックスはまずまずの入りになり、そこそこの興行成績も稼ぎ出しそうであるが、この第三弾、実際に一番おいしい稼ぎは、家庭用ビデオ・DVDの販売まで持ち越しということになりそうである。

一作目からの流れを汲むみつつ、規模を拡大するストーリー

 脚本を担当したのは、第一作目『バイオハザード』(2000年)で監督をつとめ、二作目『バイオハザードII アポカリプス』(2004年)でも脚本を書き、今回も共同プロデューサーをつとめているポール・W・S・アンダーソン。『バイオハザードIII』は、前作それぞれが持つミトス(信仰形式)の規模をさらに拡大した上で、物語の連続性を理解できる程度には前作までの展開を踏襲していると言える。

 第一作目オリジナル『バイオハザード』で、アリス(ジョヴォヴィッチ)は密命を受けた特殊部隊の隊長であった。密命とは、アンブレラ社が極秘に運営する地下研究所での事故で、実験中のウイルスに感染し生まれてしまったゾンビを殲滅するというもの。

 予算上の締め付けが明らかにあったにもかかわらず - そのために主役の人物たちは、足元にドライアイスでできた霧を流され、ジメジメして、照明も半分ないような廊下をとぼとぼ歩かされる羽目になっていたのだが - 作品自体は、驚くべきことにたいした人気を呼んでしまい、第二弾まで作られることなってしまった。第二作目では、製作サイドが賭け金も上がった分だけ、死体の数も倍増。そんな『バイオハザードII アポカリプス』で、アリスはアンブレラ社の科学者による遺伝子組み換え操作で、人並みはずれたパワーを得ている。

「私が行くところ、人々に死が訪れる」

 『バイオハザードIII』は、その数年後の話ということで始まる。原因となったウイルスが世界中を覆い、腹を減らしたゾンビたちの数は、やっとのことで生き延びる人間たちの数を上回ってしまっている。アリスは住むものもいない無人の荒野を一人、バイクで疾走する。ゾンビでない普通の人々と交わることすら、ことさら避けているように。「私が行くところ、人々に死が訪れる」 - 彼女はアンブレラ社の首謀者たちが行う衛星を使った監視システムをかいくぐるようにして、先を急ぐ。(屋外の撮影のほとんどはメキシコ、メキシカリで行われたもの)

 運命の避けられない悪戯か - はたまた、脚本上の単なる仕掛けか - 主人公アリスは、バスやらトラックやらバンやらを駆る雑多な人々でできあがった寄せ集めの一団と遭遇する。

称賛に値するプロダクション・デザイン

 作中、いい知らせは、アリスが人並みはずれたパワーとテレキネシスを会得していること。悪いニュースは、異常にうぬぼれの強いアンブレラ社の科学者(イアン・グレン)がアリスを再び捕まえ、彼女のDNAを極悪な目的のために使用しようと心に決めていること。

 作品中、最も印象的なセット、ほとんどが砂に埋め尽くされたポスト黙示録的なラスベガス、これはひとえにアカデミー賞を受賞しているプロダクション・デザイナー、エウヘニオ・カバイェーロ(『パンズ・ラビリンス』)の力によるもので、称賛に値する。カジノやニセのエッフェル塔など、よく目にしているラスベガスの象徴的な建物が、ほんの少しだけ砂から顔を見せている。

脇のキャラクターに命を吹き込む俳優たち

 しかし、この人間対ゾンビの再決戦、どこか見たことがある、行ったことがあるという感覚が残り、少々がっかりさせられる。監督ラッセル・マルケイ(『ハイランダー/悪魔の戦士』、『シャドー』)も、スタントチームからまずまずの仕事を引き出しているとはいえ、戦闘シーンは撮影も、編集も、殺陣も目を見張るところがなく、脈が速くなりもしなければ、びっくりさせてももらえない。

 ジョヴォヴィッチは性格をというよりは、肉体の誇示に終始していて、とはいえ、彼女の役に求められているものが、そういうものであるので、致し方ないところか。脚本上大ざっぱに描かれている脇役たちも、演じる俳優によっておのおの命を吹き込まれているように見える。出色なのは、第二弾から引き続き登場するオデッド・フェール、「HEROES/ヒーローズ」の出演者、ここではトラック集団のリーダーを務めるアリ・ラーター、そして安い労働力を確保するためにゾンビを「家畜化」しようと企てる、悪の科学者を演じるイアン・グレン(ミュージカル・ドラマ「Small Engine Repair」ではもっと良い結果を出していたけれど)というところ。

 科学者の悪だくみ、この筋はわかる人にはわかるちょっとした皮肉になっていて、少し楽しい。もうひとつ気の利いているところは、悪の親玉が『バイオハザード』第一弾でも登場した、ある物をたずさえて出て来るところ。これでやっと、シリーズものの完結なんだということがはっきりする。

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