●監督:ポール・グリーングラス 脚本:トニー・ギルロイ、スコット・Z. バーンズ、ジョージ・ノルフィ 原案:トニー・ギルロイ 原作:ロバート・ラドラム 撮影:オリヴァー・ウッド プロダクション・デザイン:ピーター・ウェナム 音楽:ジョン・パウエル 製作:フランク・マーシャル、パトリック・クローリー、ポール・L. サンドバーグ 製作総指揮:ジェフリー・M. ワイナー、ヘンリー・モリソン、ダグ・リーマン
●出演:マット・デイモン、ジュリア・スタイルズ、デヴィッド・ストラザーン、スコット・グレン、パディ・コンシダイン、エドガー・ラミレス、アルバート・フィニー、ジョーン・アレン、トム・ギャロップ、コーリイ・ジョンソン、ダニエル・ブリュール、ジョーイ・アンサー、コリン・スティントン、
●2007年/アメリカ/115分/2007年11月10日 日本公開
●配給:東宝東和
●出演:マット・デイモン、ジュリア・スタイルズ、デヴィッド・ストラザーン、スコット・グレン、パディ・コンシダイン、エドガー・ラミレス、アルバート・フィニー、ジョーン・アレン、トム・ギャロップ、コーリイ・ジョンソン、ダニエル・ブリュール、ジョーイ・アンサー、コリン・スティントン、
●2007年/アメリカ/115分/2007年11月10日 日本公開
●配給:東宝東和
もし誰かが、『ボーン・アルティメイタム』を見て得られる、ドッと来るような高揚感を瓶詰めにして売ることを考えても、たぶんそれは非合法ということになってしまうだろう。ますます興奮度が高まるシリーズ第三弾にして、最終話となると噂される本作品は、心臓ドキドキもののスリラーに仕上がっており、ほぼ二時間アドレナリンが出っ放しとなること請け合いの一作である。世界中の興行収入もすばらしいものになるであろうし、合わせて5億ドルを稼ぎ出した前作二作のそれぞれを上回ることもほぼ間違いがないだろう。
前作以上の力を発揮するグリーングラス監督
誰が何のために彼を殺人マシーンに仕立て上げたのか? その答えを探そうとするジェイソン・ボーンの調査を最終段階に追い込み、監督ポール・グリーングラスも、前作以上の力を発揮している。あらん限りのエネルギーと緊張感を持つ映画を作り上げ、時に訪れる息継ぎの瞬間でさえ、その静けさゆえに逆にはっとさせられるほどである。別のケースであれば、しつこいほど神経質にゆれるカメラワークやマシンガンのような編集は大概飽きのくるものだが、グリーングラスは、その両方を巧みに利用し、興奮状態を作り出すだけでなく、細部を語り、情報を思慮深く配置するアクセント付けに成功している。
その結果は息もつかせぬほどのすばらしいものとなっており、その中、ボーンはモスクワからトリノ、パリ、ロンドン、マドリード、タンジール、モロッコと移動を繰り返し、最終的にはニューヨークへとたどり着く。そこでは、CIAの特別合法暗殺組織が彼の動きを、最先端のハイテク機器で瞬時に突き止めている。しかし、ボーンはエージェンシーの監視の手をかいくぐり、彼らが送る最強の暗殺者たちを退け、彼独自のやり方でCIAを出し抜いていく。
その結果は息もつかせぬほどのすばらしいものとなっており、その中、ボーンはモスクワからトリノ、パリ、ロンドン、マドリード、タンジール、モロッコと移動を繰り返し、最終的にはニューヨークへとたどり着く。そこでは、CIAの特別合法暗殺組織が彼の動きを、最先端のハイテク機器で瞬時に突き止めている。しかし、ボーンはエージェンシーの監視の手をかいくぐり、彼らが送る最強の暗殺者たちを退け、彼独自のやり方でCIAを出し抜いていく。
タンジールの街を見事に利用した映像製作
三年前の『ボーン・スプレマシー』で恨みはある程度晴らしているボーン(マット・デイモン)は、今回、彼の記憶を取り戻すことを心に決めている。能力を諜報機関のいいように使われる以前の彼の正体を知ろうとする。このチャンスに拍車をかけるのは、ロンドンの新聞記者(パディ・コンシダイン)の書いた記事。その中に書かれるボーンの経歴と正体にかかわる詳細は、明らかに彼を良く知る人物から提供されたものであった。
ロンドン、ウォータールー駅でのボーンと記者に対する執拗な追跡をかわした後、ボーンは情報提供者を求めてスペインへ飛ぶ。そこで彼は再び、CIA調査員ニッキー・パーソンズ(ジュリア・スタイルズ)と会い見え、そこからまた、CIAの暗殺者が潜伏するタンジールへと飛んでいく。港町の曲がりくねった坂道、そして人で群れ返った旧メディナの路地での追跡劇、それが屋上へ続き、そして窓を突き破り、最後には狭苦しいトイレでの空気を求めあえぐような激しい至近距離での戦いへと流れ込んでいくシーンは、ひとえに卓越した技巧と純粋な後方支援の賜物であり、また驚異的でもあり、そして西洋の映画では殆どお目にかかることのない伝説の街を見事なまでに使い切ったものとなっている。
ロンドン、ウォータールー駅でのボーンと記者に対する執拗な追跡をかわした後、ボーンは情報提供者を求めてスペインへ飛ぶ。そこで彼は再び、CIA調査員ニッキー・パーソンズ(ジュリア・スタイルズ)と会い見え、そこからまた、CIAの暗殺者が潜伏するタンジールへと飛んでいく。港町の曲がりくねった坂道、そして人で群れ返った旧メディナの路地での追跡劇、それが屋上へ続き、そして窓を突き破り、最後には狭苦しいトイレでの空気を求めあえぐような激しい至近距離での戦いへと流れ込んでいくシーンは、ひとえに卓越した技巧と純粋な後方支援の賜物であり、また驚異的でもあり、そして西洋の映画では殆どお目にかかることのない伝説の街を見事なまでに使い切ったものとなっている。
類まれな真実味を持つアクションシーン
そんな中、CIAが以前の極秘作戦プログラム、トレッドストーンを新しい作戦ブラックブリアーに置き換えていたことが明らかになる。新しい作戦は、情け容赦のない上層部ノア・ヴォーゼンのもと、悪事と殺人がすべての問題の解決に繋がるという傾向を見せている。電話を盗聴し、ボーンの動きを観察しながら、秘密のベールに包まれたマンハッタン本部(ロンドンに普及する監視カメラの様子を、これほどまでに見事に記録した映画は、これまでにない)、そしてヴォーゼンと同僚のパメラ・ランディー(ジョーン・アレン)は、ボーンの処遇に関して論議を重ねる。三年前のベルリンで、この一匹狼に親近感を覚えてしまったランディーは、彼を生かしておこうとする。その一方、ヴォーゼンは亡き者にせんことを繰り返し主張する。後者がどうしても、それを実行できず、くり返される失敗にイライラを募らせるところが、この映画の生み出す純粋な観客の喜びに、かなり貢献しているものと思われる。
監督グリーングラスの用意したセットは、その一つ一つが目を見張るもので、次から次へと物語が動いていく先は、大抵が人の群れでごった返した公共の場所、あるときは鉄道の駅、ある時は空港、カフェ、狭く通行人であふれる街路だったりするが、そういった舞台設定が、アクションシーンに他に類を見ないような真実味を与えている。彼以外の人間なら即座に死んでしまうような、とんでもない自動車事故からも、一度ならず二度、三度と生還を果たすボーンであるが、彼も、そして私たち観客も、彼が彼を作り上げたドクター・フランケンシュタイン、彼の心の中に時折浮かび上がる謎の男との対峙を果たすまでは、何人たりとも彼を止めることはできないことはわかっている。
監督グリーングラスの用意したセットは、その一つ一つが目を見張るもので、次から次へと物語が動いていく先は、大抵が人の群れでごった返した公共の場所、あるときは鉄道の駅、ある時は空港、カフェ、狭く通行人であふれる街路だったりするが、そういった舞台設定が、アクションシーンに他に類を見ないような真実味を与えている。彼以外の人間なら即座に死んでしまうような、とんでもない自動車事故からも、一度ならず二度、三度と生還を果たすボーンであるが、彼も、そして私たち観客も、彼が彼を作り上げたドクター・フランケンシュタイン、彼の心の中に時折浮かび上がる謎の男との対峙を果たすまでは、何人たりとも彼を止めることはできないことはわかっている。
デイモンの代表作となる演技を堪能
三作全体の中心的な問題の解決も、そしてそれぞれの脇役たちの運命も、とても満足いくかたちでまとめられており、その結果、あるがままでほとんどあら捜しのできない、激動のスリラーとして成立している。とても珍しいことである。シリーズを通しての連続性と品質の向上は、7年間変わることのない堅い絆で結ばれた製作チームによるところが大きいだろう。プロデューサーのフランク・マーシャル、パトリック・クローリー、ポール・L・サンドバーグは三作全作で変わらず、原案と脚本を担当したトニー・ギルロイ(この三作目はスコット・Z・バーンズ、ジョージ・ノルフィとの共同脚本)、撮影のオリバー・ウッド、編集のクリストファー・ラウズ、そして音楽ジョン・パウエルという面々にも変わりがない。パウエルのなんとも緊張感をあおる音楽も、印象的な弦楽器と打楽器の編成で作品にスパイスを加えている。ダン・ブラッドリーによるセカンドユニットやスタントを使った映像も、トップクラスの出来である。また、第一作目の監督として、シリーズの方向性を決定的に、そして芸術的にも作り上げ、今作でも製作総指揮として留まるダグ・リーマンを忘れてはいけないだろう。
初見では、そんなにはっきりとわからないかもしれないが、このジェイソン・ボーン役は、疑いなくマット・デイモンの代表作といえるもので、観ている者も役柄と俳優自身を重ね合わせてしまうという意味で、しっかりとこのことに加担してしまっているのだろう。彼の視線を追うように動くカメラワークも、観客をして、彼とともにいるという気持ちをさらに盛り上げてくれている。もし彼が言うように、今回が彼にとって最後のボーン役であるのなら、彼の演技をなおいっそうのこと堪能しつくしてほしい。
前作まではアクションの出番が少なく窮屈な思いをしていたであろうスタイルズも、今回は多くの出番を与えられているが、あえて目立たないようにしている。控えめな演技のストラザーンも、静かな怒りを内に秘めた悪役として抵抗勢力的なスタイルを保ち続け、強い印象を残している。その一方、アレンも、高度に統制にされた役職につきものの束縛を独特の方法で覆そうとする女性をそつなく演じている。新しいCIA長官としてスコット・グレンも少しだけ顔を出し、アルバート・フィニーも、その体躯、オペラのバスパート思い出させるような低音、南部人独特の少しゆっくりと話すその口調で、事件の黒幕としての役を効果的に演じて見せている。
初見では、そんなにはっきりとわからないかもしれないが、このジェイソン・ボーン役は、疑いなくマット・デイモンの代表作といえるもので、観ている者も役柄と俳優自身を重ね合わせてしまうという意味で、しっかりとこのことに加担してしまっているのだろう。彼の視線を追うように動くカメラワークも、観客をして、彼とともにいるという気持ちをさらに盛り上げてくれている。もし彼が言うように、今回が彼にとって最後のボーン役であるのなら、彼の演技をなおいっそうのこと堪能しつくしてほしい。
前作まではアクションの出番が少なく窮屈な思いをしていたであろうスタイルズも、今回は多くの出番を与えられているが、あえて目立たないようにしている。控えめな演技のストラザーンも、静かな怒りを内に秘めた悪役として抵抗勢力的なスタイルを保ち続け、強い印象を残している。その一方、アレンも、高度に統制にされた役職につきものの束縛を独特の方法で覆そうとする女性をそつなく演じている。新しいCIA長官としてスコット・グレンも少しだけ顔を出し、アルバート・フィニーも、その体躯、オペラのバスパート思い出させるような低音、南部人独特の少しゆっくりと話すその口調で、事件の黒幕としての役を効果的に演じて見せている。











































